その昔は、教会内のイコン(聖画)を長く保持させるために発達した、ラーカヴァヤ・ミニアチューラ Лаковая миниатюраと言われるラッカー塗り細密画(ラッカー・ミニアチュール)。
一見、木のベースに塗り物をしているように見えますが、伝統的なラッカー塗りのシュカトゥールカは紙を何重にもニカワで重ね、プレスするパピエ=マッシュという技法を使って、ベースを作っています。持っていただくと軽いのはそのためです。(お土産用のものや安価なもの、ブローチなどは木がベースのものもあります。)
土台に下地塗料を塗ってから絵を描き、その上にクリアラッカーを何重にも塗っていきます。10回以上塗り重ねることも…。そのため、まるで陶器のようなつややかな質感が生まれるのです。
ロシアにはラッカー塗り細密画で有名な町が4つあります。 フェドスキノ Федоскино・パレフ Палех・ムスチョーラ Мстёра ・ホールイ Холуйという町です。そのうち、フェドスキノ塗りは絵を油彩絵具で描き、その他3つは水彩絵具(テンペラ・ガッシュ)で描きます。
パレフ塗り・ムスチョーラ塗り・ホールイ塗りの3つは見分けるのが少し難しいのですが、パレフは背景に黒を使い、遠近法はあまり用いず、ムスチョーラ塗りとホールイ塗りは背景にいろいろな色を使います。
でも、一番簡単で確かな見分け方は、作品のどこかに小さく書かれているФедоскино・Палех・Мстёра ・Холуйのキリル文字を探すこと。ラッカー塗り細密画を手に入れたら、ぜひ文字を探してみてください。